世間では「役職が人を作る」なんてことを云うが、全てに当てはまる訳ではないことを痛感する。悪口を言うのは好きではないけれど、先輩のアドバイスを聞こうとしない、聞いているようなふりだけする、そういう人がいる。また、他人の非は責めても自らの非には無頓着で改めようとしない人がいる。グループで仕事する中で、自分はリーダーよろしくまとめ役に徹するのはよろしいが、成し遂げた仕事の成果は独り占め、あたかも自分だけで纏め上げたようなことを公言する人がいる。とにかく巧く仕事のできる人間を利用しようという人がいる。
自分は、上下の隔てなくモノを云える立場では率直に意見を口にしてきた。それが百パーセント正しいとは思わないが、その時その時で正論と考えるところを言ってきたつもりだ。これからもそうするし、このスタンスを変更するつもりは全くない。世間的な評価や地位、名声
に対する欲はないし、業績に拘る気も全くない。
中年のお決まりのフレーズ「最近の若いモンは云々」なぞ若造の頃から大嫌いな言い回しだったから、五十を過ぎても使ったことはないが、それよりも最近の中年以上の古いモンも酷すぎると云いたくなるときが有る。
ある七十代の先輩和尚さんが、ある時私に訊いた。「白衣っていうのは着物なのかねえ?」「白衣(はくえ)」とは、われわれ和尚方が衣(ころも。黒や紫など)の下に着る白い着物を指す。これは着物仕立てであるから、当然着物である。私は目を白黒させてしまった。「着物でしょう。」こう答えたのは言うまでもないが、私の返答に対するこの人の態度は、「まあ、そんなことはどうでもいい事なんだが」とでも言いたげな風だった。人にモノを訊いておいて、そういう態度は如何なものかと私は思ってしまったのだ。この先輩和尚は、白衣を襦袢のように考えていたのだろうか?いらぬ詮索をしてしまったのだが、われわれの業界に限らず、自分の職業に関する事に無知な人は多く、しばしば驚くことがある。この原因は、何であろう?自ら学ぶという行為の欠如とでも言おうか。自ら学ぶ行為とは?辞書や専門書など関係書物を繰って調べることであろう。(WEB上には、時に誤った情報や悪意を持った情報操作があるので注意されたし。あのWikipediaとて例外ではない。
世間的には「自己啓発」などという言葉があるが、これは年齢を問わず、自らを啓発せよ、という事であろう。それは知識などに限らない、精神的なもの技術的なものも含め、あらゆるものに好奇心旺盛であれ、ということだと思う。どうも年長者には、新しいものを学ぶべきは若い世代であって、自分たちには関係ない、とお思いのようだ。こうして造成されるのは「知ったかぶりの老人」である。これが世間ではそれなりに評価されてしまうのだから悲しい。
そうではない、と私は声を大にして言いたい。「生涯学習」というが、やはり人間死ぬまで学習なのである。分からない事は、世代を超えて教え、学ぶ環境が既に身近なところで提供されているはず。これを利用しない手はない。
じゃあ、お前はどうなのだ?って?私は日々慰みのごとく読書している。これが私の生き甲斐だ。次回は、最近読んだ本を紹介したい。
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